Amazonで商品を販売する際に必ず取っていただきたいものがあります。それが古物商許可証です。
耳慣れない方もいらると思いますが、簡単にいうと中古品を販売する時に必要な許可証の事です。
この許可証は家の不要なものを売る程度であれば必要ありません。
あくまでも「せどり」のように継続的に利益を得るために商品を購入して転売するという人が必要なものになります。
そこで今回は、「せどり」をするときに古物商許可証が何故必要なのか、その理由と取得方法についてまとめました。
そもそも古物ってなんだろう
古物って言われても耳慣れない言葉だと思いますが、そもそも古物とは「一回以上使われたもの、または利用する事を前提に一度以上取引された新品」の事を指します。
この一回以上使われたものというのはいわゆる中古品の事で、たとえ新品の箱を開封しただけでも使われたと判断され中古品とみなされます。
また、一度以上取引された新品とは、例えば家電量販店などで商品を購入した場合、購入した時点で古物として扱われるという意味です。
つまり「せどり」のように、例えばお店で商品を買ってAmazonで販売する場合、その商品は基本的に古物という事になります。
古物商許可証とはなんなのか
古物商許可証は警察(公安委員会)が管轄している許可制の証明書です。
同じように警察が管轄しているものとしては運転免許があります。運転免許は持っていなければ車やバイクの運転をしてはなりませんよね。
車やバイクの場合は、安全に法律を守って運転が出来る人という証明ですが、古物許可証もそれと同じようなものです。
で、どうして古物の売買に許可が必要で、警察が管轄なのかというと、盗品売買の防止が目的だからなんです。
せどりや転売はとても幅広く、Amazonで販売するような家電やおもちゃだけでなく、宝石や車なんてものもあるわけで、盗まれると大ごとになるような商品も沢山あります。
大体盗まれた商品っていうのはどこかで現金化されますから、古物商許可証のような許可制にして買取販売業者を把握しておくことで、盗難の被害にあった人の救済をしやすくしているんです。
もちろん僕は盗品を扱う事もしませんし、今まで3年以上の間、一度も警察から盗品の調査などの連絡が来たことはありませんが。
古物商の許可を得ると出来る事
例えば「なんでも買います」というチラシを一度は見た事があると思います。そういったチラシには「引き取り回収OK!」とか「出張対応!」とか書いてあります。
こういった買取行為を「行商」というのですが、古物商許可証を取得すると、このように相手の自宅まで行って商品を買い取る事が出来るようになります。
ほかにもリサイクルショップのようにお店を構えて商品を買い取り販売する事も、古物商許可証がある事で出来るようになります。
その他、買い取った商品で以下のような事が出来ます。
- 商品の使える部品を売る
- 修理して売る
- 他のものと交換する
- レンタルする
- 海外に輸出する
- 自社商品を中古で販売する事ができる
この最後にある「自社商品を中古で販売する事ができる」っていう所ですが、自社商品なんだから新品なのでは?と思われるかもしれません。
もちろん最初は新品なのですが、お客様が一度手に取ってから返品された場合には中古品になってしまいます。
そういった返品商品をアウトレット品や中古品として再販する時も古物商許可証が必要となります。
古物商許可証を取らずにせどりをするとどうなるの?
規模にもよるのでしょうが、古物商許可証を持たずに商売をすると無許可販売となってしまい、3年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられる場合があります。
古物商許可証を得る事で罰せられずに安心して転売が出来るのですから、取っておくべきですよね。
ほかにもある、古物商許可証を取ったほうがよい理由
ほかにも、古物商許可証を取ったほうがよい点として、以下のような事が挙げられます。
Amazonへの証明となる
例えば以下のように、Amazonには許認可情報を入力する欄があります。
現在は持っていなくても販売出来る事が多いようですが、人によってはAmazonから古物商の許可を求められたなんて事もあるようです。
そういう意味でも許可証を得ておいたほうが安全に商品を販売出来る事になります。
お客様へ安心感を与えられる
お客様の立場から考えると顔の見えないネットショップで購入するのは不安ですから、しっかりとしているお店から買いたいことでしょう。
そんなお客様向けに安心感を与える為、Amazonではショップ名に古物商の許認可番号を入れて、お客様に対してちゃんとプロとして営業しているという事をアピールしている販売者もいます。
資金を借りる際に許可証を求められる
せどりに限らず物販は、商品を先に仕入れて販売する為、資金が多ければ多い程利益を生みやすい性質があります。
その為せどりに慣れてくると、公庫や銀行などから資金を借りる方もいるのですが、審査が通ったとしても資金を借りる条件に古物商許可証を求められる場合があります。
特に公庫の場合には、古物商許可証の確認は現在必須となっています。
始めたばかりであれば資金を借りる事はないかもしれませんが、将来的にもっと大きくやっていきたいと思ったときには必要となります。
古物商許可証を得るための5つのステップ
古物商許可証は、運転免許証のように教習所に通って試験を受けて~などの手続きは必要ありません。許可制なので警察に申請をすれば殆どの方は取得できます。
ただ、取得するまでにいくつかの書類などをそろえなければならない為、取得までにはある程度の時間が掛かります。期間でいうと申請から発行まで30~45日程です。
以下、順を追って説明していきます。
Step.1 まずは取得条件を満たしているか調べよう
古物商許可証を取得するには幾つかの条件があります。
その条件とは以下の通りです。
- 取引の拠点である営業所を設置できる
- 成年被後見人や被保佐人ではない
- 破産宣告を受けていない
- 過去に犯罪歴がない
1.取引の拠点である営業所を設置できる
営業所とは、古物を保管したり取引をする拠点の事を指すのですが、ネット売買をする場合でも営業所は設置しなければなりませんので、大体の方は自宅が営業所になります。
ここで問題になるのが、営業所にする自宅が賃貸なのか持ち家なのかという点です。
実は「せどり」の場合には、この営業所を用意するところで躓く方が非常に多いのですが、古物の営業所を自宅にする場合、本来住まいであるところを仕事場にするわけです。
自分の持ち家であれば自由にすればよいですが、賃貸の場合は貸主と住宅として契約しているため、勝手に営業所にはできません。
もし賃貸住宅にお住まいの場合には大家さんや管理会社へ古物の営業所にすることを許可してもらう必要があります。
例外として警察によっては何も聞かれない場合も?
僕が古物商許可証を取得した警察署では、賃貸住宅の場合は大家さんや管理会社の承諾書が必要でしたが、警察によっては要求されずに通る所もあるようです。
正直な所こればかりは聞いてみなければ分かりませんので、最寄りの管轄警察署に「営業所を自宅にするのですが記載はそれで問題ないか」と確認してみましょう。
余計なことは聞かずに要件だけ聞くようにしてみてください。
賃貸住宅を営業所にする方法はあるの?
承諾書が必要と言われた場合、こればかりは貸主に許可を得る以外に方法はありません。
一番手っ取り早い方法は、貸事務所を契約する事でしょう。レンタルオフィスの場合、場所によっては営業所として登録出来ない場合もあるようですので、契約前に確認するようにしましょう。
2.成年被後見人や被保佐人ではない
これは例えば認知症などの障害を抱えており、売買契約などを行う際の判断能力が不十分な方などが挙げられます。
古物営業は商売ですので、判断能力が不十分な方は古物許可証を申請する事ができません。
3.破産宣告を受けていない
破産宣告を受けていて、現在も破産中の為に資格や権利を欠いている方は申請する事ができません。
4.過去に犯罪歴や違反歴がない
そもそも古物商許可証は、警察が盗難品などの売買を防止または解消する目的がある為、過去5年の間に犯罪歴がある方は申請する事ができません。
また、古物営業法違反で古物商許可証を取り消されてから5年以内の方も申請する事ができません。
このようにいくつか申請が出来ない場合がありますので、ご自身の現在の状況から可能かどうかを判断しましょう。
Step.2 自分が申請する場所を調べよう
基本的には地域を管轄している警察署が申請場所になります。
申請する課は生活安全課なのですが、もし不安であれば最寄りの警察署へ電話をして確認してみましょう。
Step.3 必要書類を用意しよう
古物商許可証の申請には警察で貰う申請書の他に、法務局や市町村の役場で取得する必要がある書類があります。
以下ご紹介します。
警察署で貰う申請書
申請書は管轄の警察署HPでダウンロードする事も出来ますが、記入方法は結構複雑です。その為警察署に取りに行って、記載内容を確認する事をお勧めします。
古物商許可申請書:1通 | 申請時に必要な書類。販売する古物の種類や営業所などを記載して提出します。 |
誓約書:1通 | 自過去5年に犯罪歴が無いなど、古物商許可を受けられる人であることを誓約する書類です。 |
略歴書:1通 | 直近5年の賞罰を記載して提出します。 |
使用許諾書:1通 | 営業所が賃貸など自分所有でない場合に、大家さんなどからの許諾を貰った証明となるものです。 |
古物商許可申請書に記載するときの注意点
古物商許可申請書はあなたのお店が、どのようなものをどこで販売する予定なのかを明確に記載しなければならない書類です。
特に取り扱う古物の区分という項目があるのですがが、せどりでは色々な商材を扱う事になる為、出来るだけ多くの項目に〇を付けておくと良いです。
特に「衣類・時計宝飾品・写真機類・事務機器類・機械工具類・道具類・皮革ゴム製品・書籍・金券」このあたりは〇を付けておくと良いでしょう。
市町村役場で取得する書類
住民票 | 本籍地記載の住民票を取得 |
身分証明書 | 成年被後見人・被保佐人、破産中でないことを証明する書類です |
法務局で取得する書類
古物商許可証の申請を行う際、最寄りの法務局で以下の書類を発行してもらう必要があります。
法務局が遠い場合には郵送で発行してもらう事も可能です。
登記されていないことの証明書 | 成年被後見人・被保佐人出ないことを証明する書類です。 |
法務省のHPに法務局の所在地が一覧で乗っていますので、参考にしてください。
その他用意するもの
「せどり」の場合、Amazonやヤフオクなど、インターネットを利用して仕入れた商品を販売するわけですが、古物商許可証にはその販売用のHPを記載する項目があります。
その為、以下の内容について証明できるものを用意しましょう。
プロバイダの情報 | プロバイダを契約すると最初に送付されてくる、登録者名・ドメイン・発行元のプロバイダ名が記載されている書類のコピー |
AmazonやヤフーのアカウントTOP画面 | 販売先の管理画面など |
特にAmazonやヤフーのアカウントTOP画面については、販売先を証明するものですので、警察によっては他の証明が必要と言われる場合もあります。
用意する前に必ず警察へ電話して、「インターネットを介して販売する」旨を伝え、書類の内容について不備がないかを確認しましょう。
Step.4 申請手続きをしよう
書類の内容に不備が無ければ申請手続きをするわけですが、わざわざ警察へ出向いて申請をするので、申請時点で不備が見つかってやり直し・・みたいなことにならないように、ペンと印鑑、身分証明書を必ず持参しておきましょう。
また、古物商許可証の申請手続きには19000円の手数料がかかります。これは他の書類を取得する費用とは別で、警察に申請する時に必要なものなのでご注意ください。
申請手続きが終われば、大体1ヶ月から1ヶ月半で発行されます。1ヶ月経っても警察から連絡がこない場合もありますので、ある程度期間が経過していたら電話で確認をしましょう。
Step.5 発行されたら取りに行こう
古物商許可証の発行が完了したら、申請時に受け取った書類を持って警察署で受け取りましょう。
許可証を受け取る際に、警察署によっては古物商であることを証明する古物許可プレートの購入を打診される場合があります。
古物許可プレートとは
古物許可プレートとは、古物営業所を買取店とする場合に壁に貼り付けなければならない証明プレートの事です。
これは、古物の中でもメインで取り扱う商品について記載されているものになります。
例えばあなたが「機械工具」を主に扱う古物商だとすると「機械工具商 名前」のプレートを張る事で、専門店であることを利用者に証明します。
このプレートは営業所として実店舗で商売をしない限りは不要なものですが、警察の担当者によっては○○商店で買ってくださいなどと言われる場合があります。
プレートは結構高い為、「知りあいの業者に作ってもらう予定でお話してます」など伝えて勧めを断る事も出来ます。
余計な費用をかけずに許可証を取るようにしましょう。
最後に
せどりや転売は、一度きりで終わる商売ではありません。
Amazonなどの販売プラットフォームやお客様の信頼をしっかり得ながら、堂々と販売をしていけるように
古物商許可証を取得しましょう。
そのほうが堂々と転売が出来るようになりますので。
悩みを誰にも相談できない方は、タムラに相談してみませんか? 実際に僕が経験してきたことを踏まえて、できる限りのアドバイスをさせていただきたいと思っています。 |